このような、自分の商品のブランド価値を守るために商標権を取得する戦略は、評価の高い商品については利用価値があります。特許権や意匠権が消滅しても、あきらめず「立体商標という手があった!」という意識が役に立つ場合も。 反対に模倣者にとっては、もはや意匠権が存在しないのだから、と安心はできない、という戒めにもなります。
「ラーメンをくれれば、蕎麦はあげるよ」と言ってラーメンを食べて、その後になって「やっぱり蕎麦も頂戴」といった主張です。子供のケンカじゃないのだから、そのような主張は認められません。 しかしこの法則と今回の立体商標の登録とどんな関係があるのでしょう? 実は先行デザイナーは,審査の段階で、拒絶理由から逃げるために指定商品の一部を削除する補正を行っていた、それが問題になりました。以下の通りです。
別の論点ですが、たとえばボルトやナットのような商品は、機能がそのまま形状になるから、そのような商標は独占をさせない、という規定があります。(商品の機能を確保するために不可欠な立体的形状:商標法4条1項18号)
その論点を裁判所は次のように判断しました。
模倣者の製品は「リプロダクト品」として、本家よりも大幅に安価でかつ、あちらが本家だということも強調して販売していました。だから、両者が競合することはなく、先行デザイナーに損害は発生していない、という理論です。
有名デザイナーの高価な家具と同じデザインの家具が安く販売されていたら、欲しくなってしまうかもしれません。 しかし、本件のように、本家の意匠権がなくとも、販売開始後に立体商標を取得している場合があり、商標権侵害で販売が差し止められるといった事態も起こりえます。リプロダクトのメーカーは注意が必要ですね。