「感情は抑えましょう」
みなさん、当事者系の争い(審判、異議)で思わず感情的になったことはないですか?
自分の人格まで否定されたような。
今日は、私が実際に経験した“異議申し立て事件”の話をお届けします。

異議申し立て事件で
あるとき、私たちは異議申し立てを受ける側になりました。
A社が複数の公報を持ち出して、こちらの発明をつぶしにかかってきたんです。
その中には、A社自身の発明まで含まれていました。
A社の主張はこうです。
「あなた方の発明は、公知の技術を組み合わせれば容易に思いつくものだ」、
そこまでは当たり前なのだけれど、最後に、こんな一言が添えられていました。
「なお、本件(A社の発明)の発明者は工学博士である」
……え? 博士を持ち出すの?
それを読んで私は思わずこう反論しました。
「工学博士の発明とはすばらしいですね。
しかしそれは特別扱いされるんですか?
特許法のどの条文に“博士の発明は特別扱いする”と書いてあるのか、ぜひ教えてください」
相手は激怒!
すると相手は激怒。
「無礼だ! 訂正しろ! 削除しろ!」と強い調子で返してきました。
でも私は、静かにこう返しました。
「無礼かどうかではないです。特許法の何条に書いてあるのか、それだけを伺っています」
結局、その問いへの回答はありませんでした。
なお肝心の異議申し立てでは、「容易な組み合わせ」という判断で、私たちは負けてしまいましたが。
🔍振り返ってみて思うこと
もしかすると、A社側の代理人も、発明者の強い意向に逆らえなかったのかもしれません。
ただ、この経験から私たちが学んだのは、
代理人は、依頼者の感情に流されない。あくまで特許法に基づく議論を貫くこと、でした。
博士号があろうとなかろうと、特許の世界では“法”がすべて。
そこに特別扱いはありませんよね。
